老いらくの恋
オマキザル一家は現在11頭の大所帯です。この家族を束ねているのが、「オトウ」という名のお父さん、いちばん体が大きくて、いかつい顔の個体です。推定年齢は38歳人間なら80歳になろうかという年です。一時は、大分元気がなくなり、心配したのですが、一昨年、「クッパ」という若いメスが仲間入りした途端、よほど気に入ったのか、常にこのメスに寄り添うようになりました。しかも、どういう訳か体力も元通り回復したではありませんか。恋することが若さの秘訣だったとは!



顔に似合わぬ子煩悩
ほとんどのサルでは授乳中は母親が単独で仔を育てます。ところがオマキザルでは、生後一ヶ月を過ぎる頃から父親もよく仔を背負うようになります。単独行動をしている仔に危険が迫ったと感じると、母親よりも先に走り寄り、自分の背中を差し出して、仔をおんぶします。おんぶされている内におっぱいが欲しくなった仔が胸の辺りに吸いついても怒ったりしません。顔に似合わず、とにかく優しいお父さんなのです。今年は7月4日に「フライ」(母親は「ウーパー」)、7月26日に「カルビ」(母親は「クッパ」)という二頭の仔が無事に産まれ、すくすく育っています。同時期に二頭の仔が産まれるのは初めてのことで、「オトウ」がどんな賢父ぶりを見せてくれるか、今から楽しみです。今のところは、新しいお嫁さんの仔「カルビ」をちょっとひいきしているようにも見えますが・・・。


なかなか産まれない
「カルビ」という名のこの赤ちゃん、実は産まれるまでにかなり我々をやきもきさせてくれました。母親の「クッパ」は、4月中旬から少しお腹が大きくなり始め、5月末には、いつ産まれてもおかしくないほど、ぼったりとしたお腹になりました。ところが、いつまで経っても産まれません。担当者、獣医さんだけではなく、園内清掃の業者さんや、警備員さんまでが心配してくれて(改めてオマキザルの人気にびっくり)、本当は病気か、それとも双子か、もしかしたらお腹の中で胎児は死んでるんだろうか、いろいろ考えている内に、「クッパ」よりずっと小さなお腹だった「ウーパー」が7月4日に出産してしまいました。これはいよいよおかしい!捕獲して超音波検査をする必要があるかも、と考え始めた頃、やっと「クッパ」が出産しました。7月26日の朝、背中に大きな赤ちゃんがしっかりしがみついているのを見た時は、安心のあまり腰が抜けそうになってしまいました。あれから既に一ヶ月、二頭の赤ちゃんはよちよち歩きも始まり、危なっかしい手つきで格子にぶら下がったりしていますが、危険が迫るとすぐに駆け寄るのは「オトウ」です。マイホームパパ、今年も健在。ちなみに「クッパ」のお腹はまだ大きいまま、妊娠中の過食が原因で、スリムな体型に戻れないでいるようです。うーん、我が身を見ているようですごくいやなんですけど・・・。



                                 平成13年9月1日発行

ちょっと一言

「南米よもやま帖」をいつもご愛読いただいてありがとうございます。
これまで登場した個性豊かな動物たちの本物に会いに、是非動物園をお訪ね下さい。
南米獣舎付近で、「よもやま帖担当者」だ!と思われる人物に遭遇したら「読んでるよ」と一声おかけ下さい。嬉しくなってしまってアメリカストリートをガイドしてしまうかも・・・。
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