

「フティア」なんて聞いた事ないよ?
南米獣舎の一番端の部屋に新しい仲間が入りました。その名は「デマレフティア」。聞き慣れない名前、目立たない姿のせいで、素通りされる方も多いようですが、実は、とっても珍しい動物なんですよ。
何に似てるかな?
丸っこい体、丸っこい顔、そしてよく動く長いひげ。どんな動物を思い出しますか?ヤマアラシや、モルモットによく似ています(ヤマアラシを思い出せない人は、小獣ピットに行った時によく観察してみようね)。そう、フティアは彼らと同じ齧歯類(げっしるい)、簡単に言えば、ネズミの仲間です。だから、何でもかじるのが好きで、止まり木や、寝台が結構、ぼろぼろになっています。
日本国内では現在十三頭だけ!
フティアの仲間は、中央アメリカ西インド諸島にだけ生息しています。特にデマレフティアは、キューバにしか生息せず、サンシャイン国際水族館が、キューバ政府の許可を頂いて、特別に4頭だけ、輸入しました。その4頭の集団から繁殖した2頭の仔が、とべ動物園にやって来たのです。ですから、今現在(平成12年12月)では、サンシャインの11頭、とべの2頭の併せて13頭しか国内にはいないのです。
夜行性で昼間はほとんど動かない。
我々も、フティアを見るのは初めてで、到着した時、どきどきしながらドッグケージ(輸送用の小さな檻)を開けました。ところが、待てど暮らせど、フティアは出てきません。中をのぞくと、丸いお尻が時々動くので、生きていることは確認できたのですが、ケージの前に置いた餌に見向きもしません。あまり刺激するのもいけないと思い、その晩は、入り口を開けたままにしておきました。夜行性なので、夜のうちには出てくるだろうと考えていたのです。しかし、翌朝、餌はそのまま、フティアのお尻もそのまま、全く動いた様子がないのです。お昼過ぎまで待ちましたが、出てきません。このまま、ずっと餌を食べないでいると大変です。とうとう、ケージを逆さにして、引っ張り出すことになりました。出てきた2頭のフティアは、思いの他、素早く動いて、止まり木を駆け上ったのですが、その後は枝にしがみついて立った姿勢のまま、かたまってしまい、何と4時間もそのままでした。夜の間に少しは餌も食べたようですが、飼育を始めて1ヶ月くらいは、少しでも、こちらの気配を感じると、ぴたっと動きを止め、枝の一部に変身していました。齧歯類にしては珍しい樹上性(樹の上で暮らす)で、これといった武器を持たないフティアには、隠れ身の術が唯一敵から逃れる手段なのでしょう。今では、昼間でも、少し動くようになりました。サンシャインのフティアは、昼間でも結構動くそうですので、環境に慣れるまでに時間がかかる動物のようです。
(平成12年12月発行) |
|