いろいろな呼び名
  とべ動物園には中獣舎と呼ばれる獣舎があり、そこには、「よもやま帖その5」で紹介したジャガーを始め、カラカル、そして、ピューマが暮らしています。ピューマには、これといった特徴がなく、鼻から口の脇にかけての黒い線と、太い尻尾を除けば、メスのライオンにそっくりです。しかし、非常にたくさんの呼び名を持っていて、英語名だけでも、ピューマ、クーガー、マウンテンライオン、アメリカライオンなど、20種類にものぼると言われています。

人類に次ぐ適応力
  そんなにたくさんの呼び名を持っているわけは、ピューマの分布域の広さにあります。南は南米大陸の南端パタゴニア(南緯五十度)から、北はカナダ北部(北緯五十度)にいたるまで、ずっと連続して分布しています。すなわち、大型哺乳類の中では、人類に次いで、広い分布域を持っていることになり、南北アメリカ大陸のあらゆる環境(針葉樹林、熱帯雨林、草原、はたまた砂漠に至るまで)に適応して生息している非常にしたたかな種ということができます。アジアに生息するトラも、赤道付近から亜寒帯まで広く分布していますが、それぞれの生息域によって、アムールトラ、ベンガルトラなど、別種に分かれています。ところが、ピューマは、体色や、体の大きさなどに地域変化が見られ、亜種に分類する説もあるものの、基本的には、ただ一種だけなのです。そして、様々な地域で独自の名で呼ばれるため、たくさんの英名がついたと思われます。

大きくても「ネコ」
  ネコ科には、体重2kg前後の小さなマレーヤマネコから、250kgくらいにもなるアムールトラまで、様々な大きさの仲間がいますが、大きく分けると、たいていの種が、ネコ属か、ヒョウ属に入ります。どちらの属に、はいるかを簡単に見分けるには、その鳴き声を聞いてみることです。ヒョウ属は、舌骨の一部がじん帯でできているため、喉頭を自由に動かして大きなほえ声「ガオーッ」を出すことができます。ところが、ネコ属の舌骨は骨の鎖でできていて、動かせないために「ガオーッ」とほえることはできず「ミャオッ」というイエネコのような声を出します。例えばライオンは、「ガオーッ」と鳴くのでヒョウ属、ジャガーも「ガオーッ」と鳴きます。さて、ピューマはどちらかな?もし、お暇があれば、ピューマの前で鳴くまで粘ってみて下さい。そんなに暇じゃないよ、とおっしゃる方にはそっとお教えしましょう。あんなに大きくて、立派な身体をしているのに、それはそれは可愛らしい「ミャオッ」という声で鳴きますよ。

探してみてね
  中獣舎では、より自然に近い雰囲気を感じていただくために、わざと下草を刈っていません。ピューマは、体色が茶色くて模様がないため、保護色のようになって、なかなか見つからないこともありますが、どうか根気良く探してみて下さい。そして鳴き声を確かめてみてくださいね。





                                平成13年7月発行

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