スローロリス「ハリー」成長の様子
スローロリスのハリー
成長
 7日齢になると軟便(やわらかいウンチ)が目立つようになったため、犬用のミルク「エスビラック」を少し混ぜて犬用ミルク1:人間用ミルク9:水30の割合に濃度を変えて与えてみましたがあまり効果はなく、(株)森乳サンワールド社製のビヒラクチンC(お腹に優しい善玉菌)をミルクに混ぜて20日間続けて与え続けたところ、21日には良好便(良いウンチ)に戻ったので薬をあげるのを中止しました。薬の量は体重10kg未満の子猫が1g使用するのを参考に、1日で2分の1包(0.5g)としました。 7日令
背中のラインがくっきりと。  成長につれ特徴でもある背中のラインも少しずつ濃くなり毛の色も茶色っぽくなってきました。握力も大分ついてきて色んな物に興味を示しました。79日齢からはミルクを1日4回与えながら、離乳(ミルクをやめていこう)を開始しました。離乳食としてまずレバーペーストを与えてみたが食べませんでした。そこで、バナナを耳かきで与えてみると食べたのでリンゴ・ブドウなども与えてみました(総量で1日15〜30g食べていました)。
木登り練習
 93日齢より夜行性ぶりを発揮して夜間の行動が活発になったため、夜間の自由運動時間を長くしました。95日齢になると自分で飼育ケージのふたを押し開けることができだしました。97日齢で夜間大分動くようになったため、哺育器内に遊木を設置しそこで運動できるようにしました。 93日令
木登り練習  また、外での自由運動の際に一般公開に向けて木登り練習も開始しました。始めはやはり怖がって動こうとしませんでしたが、そこはサルなのでふらつきながらでしたが、木登りして遊ぶようになりました。実は母親代わりである私(飼育員)が一番心配していたようです。
離乳
 120日齢になるとスティック状に切ったリンゴ・バナナ・皮をむいて半分に切ったブドウを手でつかんで食べるようになり、授乳量(ミルクを飲む量)も減ってきました。107日齢には一般公開も開始し(1日15分間だけ展示)、127日齢からは、展示時間を30分間に延長しました。157日齢になると羽と足をとったコオロギを、素早く自分で捕まえて食べることができるようになりました。(スローロリスは昆虫や虫を主食としています。)165日齢で授乳回数を1日1回に減らしたところ、離乳食の採食量が増加したため、182日齢で完全離乳しました。 離乳
ケージ  その後187日齢でハリー一人での動物園暮らしが始まりました。スローロリスはオス同士は、たとえ父親とでも激しい喧嘩をするのでハリー専用の部屋にての飼育となりました。部屋に入れると初めのうちはジッとこちらを見ていましたが、ここから母親は飼育員に戻ります。今まで一緒に暮らしてきた事を思い出しながらそっと帰宅しました。久々に人間の生活に戻ったようでした。
苦労話
人工哺育中でも1番の苦労といえば、やはりミルクのベストな濃度を決めることです。始め下痢をしたときどうするべきかいろんな人の意見を聞き濃度を探りました。
そして次に、やはり夜行性のハリーの自由運動と夜中のミルクに付き合う事です。明日仕事そんな理由は通用しません、ある程度自分で移動できるようになってくると、ふたを閉めていても自分で開け外に出て歩き回り遊びます。
こんなところにいました。 ハリーが夜間活発に動き出すようになってまだあまり経たないときのことです。夜間様子を見るために午前2時ごろ起きて箱を見るとなんと、ふたが開いているではないか!それからが大変、部屋中を家族みんなが心配する中くまなく探し回りました。耳を澄まして移動する音を探ったりもしましたがそこは、スローロリス、相手もスローで動いておりシーンとした夜中ですら、解りませんでした。挙句の果てベッドまでひっくり返したりして探し終えたところで、ふと本棚を見ると本と棚の間にひっそりといるのを見つけました。この時ばかりは冷や汗を掻きました。
その元気さから現在のハリーは多くのお友達と握手してます。その姿を見かけたときは、ぜひ怖がらずに握手して友達になって下さい。 みんなとスキンシップ
ぼくにあいにきてね。  最後に小さめで産まれてきたハリーが無事に育ったそれは、一事には言えませんが、飼育員の色々な工夫(ミルクの濃度・飼育箱・飼育環境・適度な運動量)そして、ハリーが持って生まれてきた生きようとするパワーや多少の運も有ったのかもしれません。
資料
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