愛媛県立とべ動物園

飼育日記

コウモリてんこモリ

2015年10月06日

【その18】コウモリ団子の巻

コウモリ団子
コウモリ団子

今年6月下旬のこと、1本の電話がかかってきました。コウモリについてのご相談でした。お話を伺うと、住宅管理会社の方からで、「空き室の窓にコウモリの集団が棲みついているのだけど、どうすれば良いでしょうか」とのこと。送っていただいた写真を見ると、立派なアブラコウモリのお団子で、生まれて間もなくと思われる幼獣がたくさんいました。空き室なので住人に迷惑はかかっていないとはいえ、管理会社としては空き室のまま放っておくことはできません。実際、その部屋を見学に来られた方もおられましたが、別の部屋を紹介されたそうです。

日本の野生動物(鳥類と哺乳類)のほとんどは許可なく捕まえたり、殺したり、また飼育することも禁じられています。

普段だと、「コウモリが棲みついて困っている」というご相談にはたいてい「出入り口を見つけて、そこに棲んでいるコウモリが夕方出て行った後で出入り口をふさぐのが最も確実です」とお答えします。中にコウモリを残したまま出入り口をふさぐととんでもないことになってしまうからです。

このご相談の場合は、窓の網戸の外側にシャッターがあり、シャッターと網戸の間でコウモリたちが心地よく暮らしているので、心を鬼にしてシャッターを開ければ、びっくりした大人のコウモリたちは飛んで行ってしまい、まだ飛べない幼獣たちは下に落ちて母親と離ればなれになって儚い運命をたどることになります。しかし棲んでいる巣が壊れることは自然界ではよくあることと割り切ることもできるのです。

ところがご相談下さった管理会社の方(Mさんとお呼びしましょう)は、「あとどのくらいでコウモリの子どもたちが飛べるようになるのか、それ次第で少し猶予したい」と言ってくださいました(ここの文章、立ち位置が少しコウモリ側かな(^_^;))。おそらく数週間、長くて1ヶ月で飛べるようになるとお伝えして、二人であれこれ相談した結果、少しだけ広めにシャッターを開けて、コウモリたちにとって完全なパラダイスではないけれど雨風は防げるように、そして飛べるようになったら巣立ちもすぐにできるようにしました。

大人になったコウモリ団子、もういつでも旅立てそう
大人になったコウモリ団子、もういつでも旅立てそう

それから様子を見ること1ヶ月、7月23日にMさんが少しシャッターをがたがた揺らしたら、びっくりして全てのコウモリが無事に飛び立ったそうです。全員が退去したのを確認した後、コウモリの嫌がるスプレーを散布して樟脳系の防虫剤をこれでもかっと言うほどシャッターの下に置いたところ、戻ってきた個体はおらず、無事円満解決と相成りました。今頃はどこかよそに素敵な新居を構えて(見つけて)いるはずです。

Mさんのことをすごいと思ったのは、今回のことを「決して動物が好きだからではないんです。例えばスズメバチの巣は即時撤去するし、今回のコウモリ団子も入居者が決まっていればすぐに追い出したはずです。でも、たまたま空き部屋だったことと、周囲のお部屋に迷惑がかからず、オーナーの方のご理解もあったからこそ、殺生しなくてすんだだけです。」とおっしゃったからです。

大上段に構えて「動物好きです!!自然を守ろう!!」と活動することも大切ですが、生き物の立場、人間の立場、お互いの利害関係をきちんと見据えた上で、このような判断をして下さる方がおられた、ということがとても嬉しかったのです。文章力が低くて、自分の思いを半分も表現できていないような気がしてもどかしいのですが、とにかく自分の身の回りにある命をちょっとだけ大切にしようと考えて、見守って下さった姿勢にとても感銘を受けました。こういう心意気が草の根的に広がるといいなあ、と何事につけ派手に活動するのが苦手なコウモリ母Tは思います。

また、実は愛媛からかなり遠い地域のMさんから、なぜとべ動物園にご連絡いただいたかというと、「コウモリてんこモリ」が結んでくれたご縁のようです。ネットで検索してもマイナーなコウモリのこと、あまり記事がないようで、「てんこモリ」にたどり着かれたそうです。ここ二年ほど更新してなかった「コウモリてんこモリ」ですが、Mさんとコウモリ団子のおかげでやっと更新できました。

7月に入って、愛媛でもコウモリのちび達が保護されてきて、コウモリ母Tも先日まで大忙しだったのですが、とべのちびちびコウモリよりもまずMさんとコウモリ団子のことをご紹介したくて、久々更新の第一弾とさせていただきました。

(T)

コウモリ豆知識

日本に生息する小型のコウモリは非常に大量の虫を捕食するということで、益獣と言われていますが、大型のコウモリ(果物を主食にする種が多いので、フルーツバットと呼ばれます)も実は益獣なのです。オオコウモリは主に熱帯・亜熱帯に生息し、果実を食べますが、実を食べる時に受粉を助けています。また、広範囲にわたって糞をすることで、食べた実の種子を広く伝播する役目も担っています。たまに果樹園を食べつくすような被害もあるようですが、果実の生産量を増加させている点からするとその被害を補って余りあると言ってもいいかもしれません。

バックナンバー

  • 交通アクセス
  • イベント情報
  • しろくまピース
  • とべ動物園の楽しみ方
  • とべ動物園オンラインショップ
  • 愛媛動物友の会
  • とべ動物園Facebook
  • YouTubeとべ動物園公式チャンネル

ページトップへ