愛媛県立とべ動物園

飼育日記

コウモリてんこモリ

2012年12月25日

【その15】小ちゃん ピンチッ?!の巻

冬到来

しばらく更新が滞っていた間に、コウモリトリオは(準)冬眠モードに移行し、ミルワームを食べる量が減ってきました。そして、逆に覚醒までには長い時間がかかるようになりました。
今年は11月くらいまではとても暖かい日が続いていたのに、11月末から急な寒波に襲われ、そのまま例年にないくらいとても寒い12月を迎え、コウモリ母Tもコウモリトリオも思わず油断していました。急な温度変化に体がついて行かなかったのか、小ちゃんがほとんど餌を食べなくなってしまいました。

冬眠させるべきか、させないべきか、それが問題だ…

毎年今の時期になると、「今年こそは冬眠させようか、どうしようか?」とハムレットのように悩むのですが、結局冬眠させず毎日少しずつでも給餌する方を選んでしまいます。
というのも、冬眠は寒い冬を乗り切るにはとてもうまい方法ですが、大きな危険と背中合わせでもあります。通常彼らの体重は6gほどですが、冬眠前には8~10gくらいに太っていないと冬眠を乗り切ることはできないと言われています。およそ4ヶ月の間ほとんど餌を食べずに過ごすので、しっかり脂肪を蓄えておかないとやせ細って亡くなってしまう可能性が高いのです。人間なら体重60㎏の人が100㎏くらいまで急激に太らないと冬眠に耐えられないということです。ひえ~~、100㎏…(゜o゜)。誰ですか?コウモリに比べればまだまだ大丈夫、なんて安心してる人は…?(笑)
また、5℃前後を保って適切に温度管理をしないと、寒すぎても、暖かすぎてもちゃんと冬眠できず、エネルギーを無駄遣いして衰弱してしまうかもしれません。 そこで、当園のアブラコウモリたちはランチの時間になると何とか起こして餌を食べさせることにしています。

冬眠モード

冬場のコウモリの固まりっぷりは、ただ事ではありません。まるで油が切れたロボットみたいです…。展示中もほとんど動かず、じっとぶら下がっているので、ご覧になった方からも「生きてるんですか?」とよく訊かれます。これが目を覚ますと体を震わせ、ある程度体温が上がると、嘘みたいに素早くシャカシャカと動くようになります。

小ちゃん、ピンチッ!!

さて、目を覚ましてから餌を食べようという気分になるまでに、とても長い時間がかかります。お客様の手の上に乗せたり、背中を撫でていただいたりしながら、待つこと15分くらい…。とても寒い日には、体温が大幅に下がっているので、15分ではまだ寝ぼけていることもしばしばです…。それでも、大ちゃんとデカ君は何とか目を覚まして5~6匹はミルワームを食べてくれます。

デカ君・大ちゃん。まだ固まっているところです。

「左:デカ君、右:大ちゃん。まだ固まっているところです。」

問題は小ちゃん…!!12月に入った頃から、ランチガイド中にはほとんど食べなくなりました。体重も少しずつではありますが、確実に減っていきます。いっそずっと冬眠モードでいてくれれば良いのですが、目だけは覚まして結構動くので、体力の消耗が心配です。
そこで、12月16日から夜間に給餌することにしました。自宅に連れ帰り、暖かい部屋に置いておくと、9時頃に動き回る気配がします。早速ミルワームを口の前に持っていくと、しばらくつついていましたが、やっと食べてくれました。良かった~!!ヽ(^。^)ノ
そのまま続けて7匹ほど食べてくれたので、本当に安心しました。これだけ食べてれば、何とか体力も持ちそうです。翌日からも同様に、ランチの時間は嫌がって食べず、なぜか夜9時頃に「お目覚め→よく食べる」という生活パターンが続いています。ずっと心配してくれていたコウモリ姉Tも「良かったぁ」と喜んでくれました。
「過保護だよなあ」と反省しつつ、それでも生き続けてもらうことをいちばんに考えて、しばらくは夜食の時間を設けることにしましょう。

小ちゃん:目は覚ますものの、食べる気になるまでが一苦労・・・

「小ちゃん:目は覚ますものの、食べる気になるまでが一苦労・・・」

さらにピンチッ!!

さて、食欲については何とか解決の糸口が見えましたが、小ちゃんにはもう一つ心配事があります…。目を覚ますとずっとくしゃみのような声を出しています。鼻に何か詰まっているのか、のどを痛めているのか、どちらにしても正常ではないようです。暖かくしてたくさんご飯を食べて体力をつけることで回復してくれると良いのですが。今日から獣医さんが薬を出してくれるそうですので、その効果を期待しましょう。獣医さんに「小ちゃんの体重は?」と訊かれ、「5.5gくらい」と答えると、獣医さん、絶句…。小さすぎて、調剤が大変みたいです…。ちなみに水薬(抗生剤)を一回0.1ml、一日2回与えることになりました。

お詫び

前回の更新から大変長い時間が空いてしまいました。いろいろと他の事情もあるのですが、なかなか書き進められなかったのは、やはり小ちゃんの不調によるところが大きいです。あらためて、打たれ弱い自分を発見してしまいました…^_^;  頼むよ、小ちゃん、何とかこの冬を乗り切ろうね。(T)

12月12日の体重

小ちゃん 大ちゃん デカちゃん
5.85g 8.01g 7.44g
コウモリ豆知識

「素晴らしきかな、チスイコウモリ」

前回、チスイコウモリには、人間の生活にも役立つ部分があったり、また我々が見習いたくなるような素敵な一面も持っているとお伝えしました。
さて、その素敵な面とは?

まず最初は医療の面で役立ちそうだということです。効率よく血液をなめるために、チスイコウモリの唾液の中には血液を固まりにくくする成分が含まれています。その成分が脳卒中の特効薬づくりに応用されているそうです。血液サラサラにする効果もあるといいですね。

また、もっと素敵なお話もあります。
チスイコウモリは動物の血液を餌としているのですが、毎日毎日ちゃんと血液にありつけるわけではなく、群れの中の1割近くはお腹がすいたままで戻ってくるそうです。それなのに、チスイコウモリは他のコウモリと違って、60時間くらいも何も食べずにいると死んでしまうそうです。そんな時、どうするか?………?
実は、お腹いっぱいの個体がお腹をすかせたコウモリに対して、血液を吐き戻してなめさせてあげるそうです。ただし、誰にでもあげるわけではなく、過去に血を分けてくれた相手、もしくはグルーミングをする間柄の相手に限るそうです。分けてくれなかったコウモリには分けてあげないそうですよ。ちゃんと個体識別もできているんですね。

「情けは人のためならず」も「目には目を、歯には歯を」の教え(?)はコウモリ界でも有効のようです。私たちも常に思いやりを心掛けていないと、肝心な時にしっぺ返しを食らうかもしれませんね。
それにしても、チスイコウモリの交友関係、どうやって調べたんでしょう?(笑)

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