愛媛県立とべ動物園

飼育日記

キーパー飼育日記

カルガモの産卵からふ化にいたるまで

9月の終わりから、カルガモが寝室に置いてある巣箱の中で卵を産み始めました。巣箱の中にはたくさんの落ち葉を入れているので、それらを集めてすり鉢状の巣を作っているのです。カルガモのメスは卵の数が9個になった10月7日になってやっと卵を抱き始めました。カモの仲間はある程度卵の数がそろわないと卵を抱かないのです。ところが翌日にはほかのカモたちと一緒に放飼場に出て行ったのです。巣箱の中を見ると直径25cmくらいの巣の中に10個の卵がありました。巣を放棄したのではないと考えつつも、やや寒くなってきたこともあり、5個を取り上げ人工ふ化を目指すことにしました。5個残したのは以前4個で抱き始めたことがあったので、5個だったらまた抱いてくれるだろうと考えたからです。

実際カルガモのメスは翌日から再び卵を温め始めました。一方取り上げた卵はふ卵器に入れました。温度は37.5°湿度51%に設定しています。人工ふ化は今まで何度かトライしているのですが、成功したことはありません。そこで今回は筆を使って卵に水をつけるようにしました。こうするとふ化率が上がるそうなのです。

ふ卵器に入れてから24日目の11月2日5羽全てふ化しました。ですが4羽続けて死亡したのです。ヒナのお腹には卵黄が残っているのでしばらくは何もやらなくてよいと思い、休み明けの3日目から餌をやろうと考えていたのですが2日目の夜間に死んでしまったのです。翌日残ったヒナに餌をさしたところ元気になって今に至っています。メス親が抱いていた卵はやはり寒さのせいか5個とも卵の中で死んでいました。来年こそは自然ふ化を成功させ、親子が泳いでいる姿を見せたいと思っています。