我々人間の最も身近な所に住んでいる野生の哺乳類は何でしょう?タヌキ?キツネ?ネズミ?クマ?これらの動物はニュースや絵本にもよく登場し、その姿もだいたいのイメージは浮かんできます。でも、ご自宅の庭や、すぐご近所で見かけたことがありますか?そんな経験をお持ちの方は少ないと思います。ところが、夏の夜にちょっと上の方を向くと目に入る動物がいるんですよ。そう、アブラコウモリです。人の家の屋根裏や壁のすき間に住んでいるので、昔はイエコウモリとも呼ばれていました。都会の真ん中でも見かけるこのコウモリが人間にいちばん身近な哺乳類と言えます。
ところが、日本産の小型コウモリについては詳しいことがほとんど知られていません。実物を近くで見たくても、国内の動物園で展示されているのは果物を食べるオオコウモリがほとんどなのです。
とべ動物園ではそんなアブラコウモリの真の姿、一日に百匹以上の蚊やハエを食べていることや、案外顔も可愛くて思った以上に小さいサイズ(体重がわずか5g)ということなどを知っていただきたくて、コウモリガイドを長年続けてきました。しかし、コロナ禍で中止を余儀なくされ、ここ数年はただ展示するだけになっていました。
この数か月、やっと少しずつ日常が戻って来たのに伴い、コウモリガイドもひっそりと再開しています。木、金曜日の午後3時頃、こども動物センターでコウモリたちを近くで観察してみませんか?
実はこのガイドを始めていちばん驚いたのは、小さな子どもさんたちがとても熱心にお話を聞いて下さること。小さいので動物が苦手なお子様のギャップが大きいからでしょうか?お一人でも、ご家族でも、お友達同士でも、ぜひ一度コウモリガイドにご参加ください。コウモリのイメージが変わりますよ。
(教育係 田村千明)