愛媛県立とべ動物園

飼育日記

キーパー飼育日記

ある朝のこと ラクダの巻・・・

ビビッたー!!てか、初めて見たときはあまりのことに「ええ~ッ!?」でした。いきなりで何のことかわかりませんよね。当然です。ただそれだけショッキングだったというかインパクトが強すぎたというか…。いい加減で本題に入りましょう。
ラクダの朝は当たり前のように寝室の扉を開けると出て行って、朝ごはんを食べて、くつろぐのがごく普通の姿でした。毎日がそうだったんです。それがある日の朝のこと。いつも通り外に出て、いつも通りに朝ごはんを食べて、いつも通りにくつろいでいたはずが、舎内での作業を終えたときに何気なくオスのラクダのほうに目をやったところ、突然の冒頭部分の衝撃とともに頭の中が真っ白になりました。「うっそーッ!!」と思うのが精一杯でした。

そこには、いつものくつろいでいる姿ではなく、目を閉じて、首をだら~んと伸ばして地面にベッタリ(というかグッタリと)横たわっているのですから。おまけに、お腹を見ても呼吸のために膨らんだりする様子も見受けられなかったものですから、てっきり天国に召されたものだと思ってしまいました。あまりの姿に慌てて声をかけました。手っ取り早く確認するために。すると「なんじゃ!?」と面倒くさそうに頭をこちらに向けたのでした。えらい勿体をつけましたが、冒頭の出来事は、ヒトコブラクダの寝姿(=休息姿)を見てのことでした。よくよく考えてみると、ノマウマでもこんな体験はあったんです。でもそんなことはすっかり頭からは抜けていました。たいてい見かけるラクダの休息状態は、牧場のウシが座り込んで草を反芻するあの座り方で、まさかキリンほどではないにしても、そこそこ首の長い動物があんな姿で横たわるなんて思いもしませんでしたから。
これはラクダの担当になってまだ間のないころのことでした。今ではオスもメスも見せるなんてことのない姿なんですが、こんな休息姿ひとつ取っても、まだまだ勉強が足りないと思い知らされた苦い思い出でした。