愛媛県立とべ動物園

飼育日記

キーパー飼育日記

ジャガー繁殖の為の同居経過について

ミックス

今回、単独性の強い大型のネコ科動物たちを繁殖させるため、どの様に同居させているのかジャガーを例にお話ししましょう。

ジャガーは中南米に生息するトラ、ライオンに次ぐ大型の肉食獣です。アメリカ大陸にはピューマも生息していますがジャガーの方が大型です。
このジャガーの繁殖を目的して、ブリーデイングにより雄個体を搬入しました。2011年12月1日にわんぱーくこうちアニマルランドより「ルモ(雄当時4歳)」が搬入され、当園で飼育している「プリメーラ(雌当時16歳)」との間で繁殖が成功する様に努めました。

マウント

2012年6月から見合いを開始し、2012年10月11日よりペアリングを行いましたが、現在も繁殖に至っていません。
ジャガーは元来単独性が強く、繁殖期以外は雄と雌が共に行動することがないため、繁殖期が終わると雄は雌から離れていきます。飼育下においてもペアリングは難しく、判断を間違えれば殺し合いの闘争を招くことも有ります。その為に慎重に段階を得ながら同居を行います。

まず寝室内において雄と雌を一緒にしますが、この時、部屋の周りに4人から5人の飼育員及び獣医を配置し、事故、闘争を防ぎながら行います。この寝室内での同居を一週間ほど行い、その様子を見ながら次の段階へと進みます。
次はパドック内での同居です。寝室内で行ったように数日監視を行いながら慎重に同居を続けます。

マウント監視

もともと、プリメーラは雄を受け入れる性格の良い個体で、寝室内、パドック内においても闘争、事故等なく同居はできましたが、繁殖を目指して4年が経ちました。マウント行動は確認できるものの繁殖に至っていません。プリメーラが高齢なせいかもしれません。
ジャガーは国内でも非常に数が少なくなっており、若い雄のルモはとても貴重な存在です。老齢のプリメーラとの間で繁殖の可能性が低いのであればわんぱーくこうちに帰って若い雌とペアリングする方が日本のジャガーの将来は明るいかもしれません。でも、その日が来るまではせっかく仲良くなったプリメーラとの間で子どもを授かるよう繁殖に頑張って同居を行っていこうと思います。

プリメーラ(メス)

オス