愛媛県立とべ動物園

飼育日記

キーパー飼育日記

キリンの採血

とべ動物園では今年の四月に初めてキリンのリュウキ(♂)と杏子(あんず)(♀)の採血を行うことができました。人間もそうですが、動物の健康状態を知る上で血液を採取し検査することはとても重要なことなのです。見た目ではわからない体の中の状態も知ることができます。とはいっても、キリンのような大型動物から血液を採取することは簡単なことではありません。見た目と違い神経質で臆病な一面を持つキリンは、毎日お世話をしている人でさえ体に触ろうとすると驚いてしまうことがあります。そこで今ではよく耳にするようになった「ハズバンダリートレーニング」を用いて、採血をはじめ体のいろいろな所をさわらせてもらえるようになることにより、キリンに負担なく健康管理が出来ることを目指しました。

国内の動物園でもキリンの採血を、実施しているところも増えており、私自身も今年の一月に東武動物公園で行われたキリン研修会で実際に行っている様子を見学させてもらいました。そこでトレーニングの方法や使用する道具、実際に採血で使う針の形状や気を付ける点などを教えていただき、それらの情報を持ち帰ってとべ動物園での実践トレーニングを開始しました。
当園にはリュウキと杏子(あんず)以外にも今年20歳になったユウマ(♂)がいます。どのキリンもトレーニングには積極的でしたが、特にユウマは真面目にまっすぐ取り組んでくれる姿勢が印象的でした。しかし、もうそろそろ実際に採血を行ってみてもいいかな、という頃からユウマが採血トレーニングを少し嫌がるようになってしまい、道のりが遠のいてしまいました。改めて採血を実施するという難しさを、あらためて痛感しました。また、一度採血が成功したからといって今後も大丈夫というわけではありません。キリンが繊細な動物である以上、継続して行っていくということは簡単なことではないようです。それでも少しでもキリンたちが健康で豊かな生活が送れるように、今後も日々のトレーニングを行っていきたいと思います。

(キリン代番 宮越 聡)