愛媛県立とべ動物園

飼育日記

キーパー飼育日記

小夏は寒いのが苦手???

杏子母さんと同じ高さのエサも食べられるようになりました

 伊予路に春を呼ぶといわれる「椿まつり」も過ぎ、もうそろそろ暖かくなってほしいと思う今日この頃です。今シーズンの冬は、寒波が二回ほどやってきたこともあり、例年に比べて寒かったと思う人も多かったのではないでしょうか。
 キリンたちも寒さによって体調を崩さないように、今シーズンはやや過保護気味に飼育管理を行いました。というのも、昨年7月に生まれた小夏にとっては初めての冬だからです。生後7か月を過ぎ、背の高さも270㎝ほどになったといっても、まだまだ子どもです。野生ではアフリカに生息するキリンは脂肪の量が極めて少なく、決して寒さが得意とする動物ではありません。体力がない子どもとなると、より一層用心しないと命にかかわることもあるでしょう。
 さて、とべ動物園で暮らすキリンたちの寒さ対策としては外に出る時間を短くしたり、特に気温が低い日は終日舎内で過ごしてもらったりします。舎内ではジェットストーブを稼動させて部屋を暖めるのですが、小夏にはある決まった場所がお気に入りのようです。そこは大人のキリンでは立つことができない、ストーブから一番近い場所です。小夏はいつもストーブがつくと、そこでエサのルーサン(乾草)を食べたり、座って休んだりします。またストーブをつけるのが遅れた日には、そこからじっと私の方を見て、「早くつけてよ」と言っているように感じることもあります。そんな小夏を見ると「やっぱり寒いのは苦手なんだなぁ」と思うのと同時に、部屋の真ん中で悠々と座って反芻する他のキリンたちをとても頼もしく感じたりもします。春はもうすぐです。小夏も早く暖かい季節になることを望んでいることでしょう。
(キリン担当 宮越聡)

※椿まつりは毎年旧暦の1月7日~9日の3日間にわたって、松山市にある椿神社で開催されるお祭りです。

ストーブ前のお気に入りの場所