2頭のフタコブラクダが仲間入りしたのはわずか半年前のことですが季節は移ろい、既に初秋です。
観覧通路から向かって左の運動場にいるオスのブライアンは2018年5月生まれで成長期の真っ只中。6月14日に換毛が完了した直後は、体のラインがはっきりし線の細さが目立っていましたが、暑さに負けず干草をしっかり食べたため今では一回り身体が大きくなった感じです。又、幼顔から成獣の顔つきに変化しています。
観覧通路から向かって右の運動場には2016年4月生まれのメスのウランがいますが、6月26日換毛完了直後に左下顎に膿瘍が出来てしまいました。それに加え2年間の避暑地暮らし(那須どうぶつ王国)だったため、四国の暑さに参っていた時期もありましたが現在では膿瘍も完治し何とか酷暑も乗り越えてくれました。
体の大きさが違いすぎることで起きるトラブル防止のために、当分同居予定はありませんが、2頭の間には目では見えない何かがあるようで、特にウランからブライアンへのアプローチは、なかなかのものなのです。
両パドックの間には幅1.5mのスペースがあり1.3mの高さの柵で仕切られています(ここは2頭の顔合わせゾーン)。ウランは3月28日からそのスペースに上から頭を入れ下草を食べ始めました。
柵の上に重心をかけて喉を鳴らしながらの一心不乱な姿は来園者の足を止めるもので、担当者も「浮いた肢の裏、観察も出来ますよ」などと呑気なことを言っていました。
しかし採食時間以外でも、この行動に多くの時間を費やすようになり「これはアカン」とウランのパドックの中央にダンプ一車分の砂山(フタ山)を用意しました。砂山に対しては前肢で崩したり、伏臥・横臥を繰り返しお気に入りの場所になりましたが、例の行動は減りませんでした。当初、それは単なる「空腹感」からの行動かと思っていましたが、どうもそれだけではないようです。しかしそれが何なのか、ウラン自身の繁殖生理的な変化なのか?体の大きさによるブライアンへの誇示行動なのか?誘い?等々、2頭の関係に結論は出せず、担当者は頭を抱えております。
また、照りつける太陽でかんかんに焼けた柵の上に体を乗せ続けた結果、9月2日には頸部基部に低温火傷?の水ぶくれを確認し新たな問題が発生しています。
更に、厄介なことにウランの悪い遊び?をこれまで見てきたブライアンが、体が少し大きくなり自身の成長確認か?8月17日から中央柵内の植物に興味を示す行動(頭入れ)を真似るようになりました。初めはウランに気づかれないようにしていたのにだんだん余裕・自信を持つようになったのか?堂々と!!最近では2頭差し向かいで見られようになっています。優劣関係は初め、ウラン姉さんの方が強く、チェックを受け悲鳴を上げていたブライアンですが、最近は軽い反撃をしたり、拮抗する場面も見られるようになっています。
現在は左右の運動場を入れ替える準備中です。というのもすべてのスペースを経験し、どこに入るのも抵抗ない方が、結果的に彼らのストレスの軽減につながるのです。ブライアンは舎内の部屋・左右のパドックすべての場所で生活経験がありますが、ウランについては左パドックの放飼は未経験なので、環境馴致とウランの新たなる行動の変化を期待し放飼練習しています
2年目を目標に2頭のラクダにはいろいろな事を経験してもらい、安全で穏やかな生活をして欲しい。来園者に好奇心旺盛な2頭の魅力が伝わる環境作りを目指したい。
それに加えて2頭の暮らしぶりについての情報満載の手書き看板にも会いに来てね♡
(フタコブラクダ担当 竹箇平昭信)