今年も切りました!!シカの角を!!キュウシュウジカ(ニホンジカ)の場合、放っておいても毎年、春には“落角”といって角が自然に取れて落ちてしまうものなのですが、鋭い角で傷つけることがあるだけでなく、場合によっては刺し殺してしまう事故にもつながるため当園では毎年この時期になると角切りを行っています。
角といえばすぐに連想される硬くて白い角ですが、角自体は切ってしまっても全く痛みはないものです。この白い状態になる前は画像②にもあるこげ茶角色の皮で覆われています。この状態を“袋角”といい、この皮の中で角が成長しきったらようやく自分で木・岩などに角をこすりつけて剥がしていくこと(皮剥ぎ)で最終的によく知られる白い角の状態にするのです。それに角を突き合わせての力比べが見られ出すと角は確実に成長しきったと判断できるので、角切り可能の目安にもするのです。しかしこうなる前に切ってしまうと芯部分などから出血するので角切りはできません。ちなみに皮剥ぎが終わるまでは角を傷めないように性格も穏やかでおとなしくなります。
完全体の角になるとお互いの角を合わせての力比べが見られますが、実は長い角を失った後でも短い角の頭でもって力比べをやるのです。角はなくても勝負はできる。つまりは、心意気ってことでしょうか。こんなシカの角切りですがとべ動物園の秋の風物詩をぜひご覧ください。
(キュウシュウジカ担当 赤尾龍欣)