愛媛県立とべ動物園

動物紹介

今月のアイドル

アブラコウモリ

今月のアイドル動物は、「アブラコウモリ」です。

上から見るとこんな狭い隙間にぶら下がってくつろいでいます

別の個体もこんな狭い隙間でくつろいでいます

子どもセンターのアブラコウモリ…壁に止まった虫のように見えますか?

 私たちにとって最も身近な野生の哺乳類はなんでしょうか?
 アブラコウモリは間違いなくその一つと言っていいでしょう。東京や大阪といった大都会にも生息していて、春から秋にかけての夕方や明け方に空を見上げるとひらひら飛ぶ姿を見ることができるはずです。もちろん松山市内でも。そして砥部町内でも。
 アブラコウモリは狭い所が好きなので、洞窟ではなく屋根裏や壁の隙間など人の家の中に住んでいます。ですから山の中よりはむしろ街中で見かけることが多く、一昔前は「イエコウモリ」と呼ばれていました。ところが、現在では正式和名は「アブラコウモリ」とされています。
 「"アブラコウモリ"の名前の由来は?」と子どもさんたちに訊いてみると、「油を食べるから」「触るとべたべたするから」という答えが多く返ってきます。でも、正解はどうやら違うようです。
 まず、アブラコウモリの主食は昆虫です。蚊やハエをなんと一晩に100匹以上食べるのです。人間に換算するとおむすびを100個食べるのと同じくらいと言うから驚きです。単純計算で、1万頭のコウモリがいれば一晩に100万匹以上の蚊やハエを食べているんですよ。ちょっとすごくないですか?ということで、油を食べるわけではありません。
 では、さわるとべたべたするのかな?これも違います。第二、第四土曜日の午後3時15分から実施している「コウモリランチガイド」に参加して下さると、当園のアブラコウモリたちにちょっとだけさわることができます。その時に実感していただきたいのですが、柔らかい毛が生えていて、とてもふわふわな感触です。
 ということは正解は...?
 江戸時代には長崎県でコウモリのことを「あぶらむし」と呼んでいたそうです。壁に止まった小さい姿が虫のように見えたのかもしれません。シーボルトがアブラコウモリの標本をヨーロッパに持ち帰ってつけた学名がPipistrellus abramus。シーボルトとしては日本での呼び名を付けたつもりだったんでしょうね。そして、その学名から「アブラコウモリ」と名付けられたという説が有力です。ちなみに私個人的には学生時代から親しんできた「イエコウモリ」の方がしっくりくるのですが、年齢がばれそうで、あえてアブラアブラと言っています。
 まるでドラキュラの手下のように思われているコウモリが本当はどんな生き物なのか、是非一度「ランチガイド」に参加して確かめてください。コウモリファンになること請け合いです!!
(ボランティアセンター長 田村千明)