キーパー飼育日記

キーパー飼育日記

ミミナガヤギにプレゼント

1.完成品

 先日ミミナガヤギのためにフィーダーを製作しました(写真1)。フィーダーとは簡単にいうと給餌器のことで、これにエサの乾草や青草などを入れて動物に食べてもらいます。既製品として販売されているものもありますが、動物園の飼育員は安全面や衛生面、経費や動物福祉の向上といったことを考え、素材や形状に頭をひねらせながら自ら作ることが多いのです(写真2)。
 さて、今回製作したフィーダーの材料が何かわかりますか?緑色の網はトリカルネットというホームセンターなどで売られているものですが、問題は黒いリング状のものです。これはあるものの一部なのですが、すぐにわかった人はこれを使用もしくは製造している人か福祉関係の人かと思われます。はい、では正解はこちらです。(写真3)
 車いすのタイヤの横についてある「ハンドリム」という部分です(写真4)。車いすを自走させるときは、このハンドリムをこぐことによって前に進むことができます。人の命に直接係わる乗り物とあって、この部品は軽量かつ丈夫に造られています。とべ動物園で長年貸し出し用として使用していた車いすが、老朽化により処分されていたため、そこから部品取りをしました。
 以前キリンの会議に参加した際に、自転車のタイヤホイールを使用したフィーダーを見させてもらい、それを参考にして製作しました。今回のフィーダーが、実際にミミナガヤギにとって有効かどうかはしばし、観察が必要と思われますが、自分たちが作ったものが動物たちに利用してもらえることは、飼育員冥利につきるというものです。これからも廃棄された物に目を光らせながら、動物福祉の向上に努めていきたいと思います。
(ミミナガヤギ担当 宮越聡)

2.製作途中

3.車いす

4.ハンドリウム