愛媛県立とべ動物園

飼育日記

キーパー飼育日記

ウサギはウサギでも...

一点見つめるノウサギ

みなさんノウサギをご存知ですか?ノウサギは日本各地で見られる野生のウサギです。“ウサギ”と聞くと、ふれあい広場で飼育しているカイウサギを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかしカイウサギはアナウサギの1種を家畜化した種で、ノウサギとは全く異なる種類のウサギなのです。ノウサギの耳は少し短めで、後ろ足はよく発達しているなど体格もよく見ると違いがある2種ですが、大きく違うのは出産と子育てです。
まずは出産です。出産をするときは2種類とも巣作りを行います。アナウサギは地面に穴を掘ってトンネルのような巣を作り、自分の毛や草などを床材代わりにします。一方ノウサギは浅く地面にくぼみをつけ、床材などを敷かない巣を作ります。次に子育てです。アナウサギの子どもは、毛が生えておらず目も開いてない状態で生まれてきます。一方ノウサギの子どもは毛がしっかり生えており、目も開いています。そして、生まれて1時間も経てば自分の力で走って逃げることもできます。同じ“ウサギ”ですが、生まれた時からこれだけの違いがあるって面白いと思いませんか?
ちなみに現在、保護鳥獣舎でノウサギを1匹飼育しています。子どもの時に保護されて、今は保護鳥獣舎で野生復帰に向けたリハビリを行っています。来た当初は慣れない環境で緊張しているように思えましたが、今ではのんびり過ごしてくれています。最近はとても暑いので木陰に窪地を作って休んでいる姿がよく見られます。地面とよく似た体の色をしているので、見つけにくいかもしれませんが、探してすぐ隣の獣舎にいるカイウサギたちとの違いを見比べてみて下さい。
(保護鳥獣舎担当 山本祥菜)

暑さを避けるノウサギ

葉っぱを食べるノウサギ