愛媛県立とべ動物園

飼育日記

キーパー飼育日記

ペリカンとアオサギ

右からウッディ、クーパー、アオサギ

とべ動物園のサバンナ展示場には2羽のモモイロペリカンがいます。オスのクーパーとメスのウッディです。2羽はとても仲良しでほとんどの時間一緒にいます。どちらかというと気が小さなウッディがクーパーの近くにいたい、そんな風にも見えます。大きなキリンや活発に走り回るシマウマなどもいる運動場で生活をしているので、尚更安心感を得たいのかも知れませんね。そんなほのぼのとしたペリカンたちですが、食欲旺盛なこの時期はエサの時間となると少しばかし目つきが変わります。「ペリカンナイスキャッチ」と名付けたご飯の時間には私や来園者の方が投げるアジを大きな嘴でキャッチしてとるのですが、嘴が大きいのをいいことに隣にいるペリカンの方に投げられたアジを横からシュッと嘴を伸ばしてとってしまうのです。まぁ、一方のペリカンだけがするのではなく、お互いがそうやって食べているので問題はないのですが、たまに嘴同士がぶつかり合うこともあります。
嘴がぶつかるといえば先日ちょっとした事故がありました。ペリカンにエサをあげる時、なにげに1羽の野生のアオサギがいつも近くにいます。ペリカンがとり損ねたり、お客さんが投げるのを失敗したアジを狙っているのです。このアオサギ、どちらかというと控え目ではあるのですが、この日はなかなかおこぼれがないことにしびれを切らしたのか、クーパーがとりに嘴を伸ばしたのと同時にアオサギも横からアジをとりにいったのです。そして2羽の嘴同士がぶつかってしまいました。クーパーは落ち込んだ様子でその場を離れ、ショックを受けているようにすら見えました。クーパーの嘴からは少量の出血があり、どうやらアオサギの嘴が刺さってしまったようです。幸い、大事には至らず出血もすぐ止まり、翌日にはいつものクーパーに戻っていました。今は1羽のアオサギですが、春先には10羽ほどに数が増える日もあります。アオサギも生きていくのに必死でしょうが、安全第一でお願いしたいものです。
(モモイロペリカン担当 宮越聡)

「エサだ、エサだ!とプールから出るペリカン」

さりげなく左からアオサギが狙っています

アオサギはここから出番を伺っています

二か所から血が出るクーパー