キーパー飼育日記

フクの一本角

フク♂(1歳)

 現在とべ動物園では、キュウシュウジカのオス2頭とメス3頭を飼育しています。今回紹介するのは、2024年6月29日に誕生し、先日1歳の誕生日を迎えたフク♂です。
 さて、シカといえば立派な角を思い浮かべませんか?なんと、フクに人生(シカ生)初の角が順調に生えてきています。
 シカの角について少し解説したいと思います。シカの角はオスにしか生えてきません。フクの角は、まだ袋角(ふくろづの)という成長中の状態です。間もなく完成して白くとがった角が袋角を破って出てきます。大抵のシカは、この角が完成すると性格や態度が一変します。気が大きくなり、人間(キーパー)にも向かってくるようになります。フクは大丈夫だろうか?このままおとなしく過ごしてくれたら良いのですが、、、
 さて、フクに生えてきつつある角ですが、今回の角はとても貴重な角です。シカの角は、通常1歳の時は枝分かれのない1本角が2本生えてきます。2歳の時は枝分かれが1つ、3歳で枝分かれが2つ、4歳で枝分かれが3つになり先端が4つ出来ます。4歳以上のオスジカの角の形状はこれらを合わせて三叉四尖(さんさよんせん)と言います。通常これが最後の形状変化で、それ以上は枝分かれしません。よってフクの角はオスである証明と、1本角なのは今年だけ!という事になります。
 キュウシュウジカたちは、アジアストリートのノマウマ・シカ舎にいるので、ぜひ一度立ち寄ってフクの今だけの1本角を観察してみて下さい!ちなみに、このような角の形状のシカは、ニホンジカの仲間に多くみられます。外国のシカと比べても面白いですよ!
(キュウシュウジカ担当 山﨑洋介)

生まれて間もないフク

1歳は枝分かれのない1本角が2本生えてきます