愛媛県立とべ動物園

飼育日記

キーパー飼育日記

食いしん坊のユリカモメ

当園のサル山では№1オスのシンちゃんを筆頭に、現在41頭(オス25頭・メス16頭)のニホンザルが生活しています。野生のニホンザルは、オスは4~5才になると群れから出ていき他の群れに交じったり、単独で行動したり、オスグループに混ざったりします。しかし、動物園ではほとんど出ていくことがなく、同じサル山の中で一生を過ごすため、毎日もめごとが絶えません。しかもオスが産まれやすい傾向にある当園のサル山はとても賑やか…。
そこで、少しでももめごとをなくす為、1日に4回ほどゴハンを与えに、サル山に入ります。シンちゃんのように強いサルは美味しいものを独りじめして食べていますが、弱いサル達は強いサル達に怒られないよう、隙をみてエサをゲットしなければならないのです。
そんな中、小ちゃくて弱いくせに1頭だけ美味しいエサ食べ放題のサルが…。そのサルの名前はユリカモメ。もうすぐ3才のメスザルです。ユリカモメは私がサル山にエサを撒きに入ると一目散に寄ってきてエサの入れ物に入り込み、頬袋に詰められるだけのエサをひたすら頬張っていくのです。時々、サツキおばさんに怒られることもありますが、めげることなく毎回やってきます。ユリカモメは1才半の時にお母さんザルを亡くし、群れの中に頼りにできるおサルさんがいないため、生きていくために知恵を使ったのでしょう。
日に日に成長していくユリカモメを見ながら、エサ箱がどんどん重たくなってきたので、そろそろエサ箱に乗るのは辞めて欲しいな~と思う毎日です。
(井上依里子)