愛媛県立とべ動物園

飼育日記

キーパー飼育日記

ヒヒの群れ

 今回は、マントヒヒの群れを紹介したいと思います。とべ動物園では、オス7頭メス8頭を飼育しています。かつて一番強いオスだったシンゴ(オス)は、現在群れから外れて1頭のみで飼育しています。若手複数頭による喧嘩で順位が下がったため群れから離れて暮らしています。しかしながら隣の檻で1対1ならまだまだといった風格をただよわせています。とはいえ負けは負け、群れには戻れません。
 とても厳しい世界です。残った群れはと言いますと、本来闘いに勝った新たなオスがリーダーとなって群れをまとめるのですが、複数頭でシンゴを下した事によりまだ順位が決まっていません。群れには、目の見えないイブナ(メス)後ろ足が片足無いアンリ(メス)年寄りのメメ(メス)などいろんな子達がいます。リーダーは、この子達の面倒も見なくてはいけません。そんな中、現在居るオス達は、喧嘩は強いけど面倒見の悪いメカ(オス)、シンゴの次に年寄りで面倒見もそこそこ良いがメス達にモテないバブ(オス)、メス達にはモテるけど凄く喧嘩が弱いポポン(オス)、力も器も大きいが一部の強いメスが囲ってしまい他のメスが付かないバンビ(オス)、強いオスの金魚の糞ボンズ(オス)、喧嘩を避ける一番若手のビンゴ(オス)と個性派ぞろい…こうなると誰がなってもおかしくない。見守り続けて早2年、群れの中で3つ4つの小さい群れができる始末で、まさしく群雄割拠まるで小さい三国志を見ているようです。
 飼育している私的には早く順位が決まり群れが落ち着いてほしいと思っているのですが、現在群れ内でのもめごとは少なくなり、イブナには攻撃しない、持っている餌は奪わないといった暗黙のルールが出来ているようです。しかしアンリやポポンにはまだまだみんなの当たりが厳しいため、この2頭こそが、素晴らしいリーダーの誕生を心待ちにしているのかも知れません。私個人的には喧嘩は弱くても前向きに暮らしているポポンの魅力にひかれて、ひそかに応援しています。どうなるか楽しみです。
(マントヒヒ担当 山﨑洋介)

メス引き連れるバンビ

争い事から隠れるイブナ