愛媛県立とべ動物園

飼育日記

キーパー飼育日記

オウサマペンギンのピーチ

 5月19日、オウサマペンギンのピーチさんが亡くなりました。28歳でした。
 つい先日、引っ越ししたピーチさんの近況をお楽しみにとお伝えしたばかりで、このような悲しいお知らせとなってしまいました。
 引っ越ししてからは、少し寂しそうではありましたが、迎える換羽を前にしっかり餌も食べ、体重も増えていました。ご機嫌そうな日は大きな鳴き声が遠くまで聞こえ、それを聞いて、今日も順調!と安心していました。高齢なので、環境の変化によるストレスに気を使いながら様子を見ていましたが、気温の上昇と共に少しずつ体調に変化が見られるようになって来ました。なんとか室内の温度、湿度管理や治療を行ってきましたが、急激に悪化が見られ力尽きました。人が大好きで、甘えん坊のピーチさんを失った喪失感は大きく、もっと生きられたのではないかと悔しさもあります。
 解剖の結果、呼吸不全で亡くなりましたが、それに至る大きな疾患はありませんでした。そして、ずっとメスだと思われていましたが、実は男の子だということも判明しました。オウサマペンギンの寿命は約20年程度といわれており、28年間生きたピーチさんはとても長生きをしてくれました。南極周辺島々で生息しているオウサマペンギンが、この暑い日本でこんなにも長く生き抜き、みんなにたくさん愛され、みんなにたくさん愛を与えてくれました。ピーチさんに出会えた幸せ、感謝でいっぱいです。ピーチさんと過ごした日々は一生忘れません。
 とべ動物園には、もうオウサマペンギンはいなくなりましたが、とてもチャーミングなオウサマペンギンがいたことを思い出してみてください。またあの鳴き声が聞こえてきそうです…。
(オウサマペンギン担当 岡本こず恵)

若い頃のピーチ(一番手前)

ザルを抱えるピーチ