愛媛県立とべ動物園

飼育日記

キーパー飼育日記

ゾウの蹄のケア

アフリカゾウのリカ

 ゾウの健康を維持するためには日々のケアがとても大切です。特に重たい体重を支える肢や蹄のケアはゾウを飼育する上で必要不可欠です。
 以前より、アフリカゾウのリカ(推定34歳)は前肢がやや内股のため、内側の蹄に必要以上に体重がかかり、蹄の変形や汚れによる細菌感染を起こしやすくなっていました。昨年は飼育員とゾウの安全確保のため積極的なケアができない期間があり、リカの蹄の状態は悪化していましたが、3月に安全にゾウのケアをおこなえるPCウォールが完成したことで現在はゾウの協力のもと積極的なケアができるようになっています。治療開始当初、左前肢の蹄には大きなひび割れができており、ひび割れの内部は本来硬いはずの爪の組織が黒く柔らかい組織に変性していました。悪くなった組織はどんどんと深層に侵食していくため、変性した組織を専用のナイフで除去し洗浄・消毒をおこない悪化を食い止めます。治療の間は担当者の指示で、リカは自ら肢を出してじっと治療に協力してくれます。
 3か月間、毎日ケアをおこない大部分の変性した組織は除去できました。また、リカには蹄の治療とともに蹄に過度に体重がかかることを軽減するための適度なダイエットにも協力してもらっています。完治まではまだまだ時間はかかりそうですが、蹄の状態が良くなるようにこれからも根気強くケアを継続しておこなっていきたいと思います。
(アフリカゾウ担当 濱田純基)

(1)治療開始当初のひび割れた様子

(2)悪い組織を除去していきます※緑色は薬の色です

(3)2カ月後

(4)現在